「・・・ではない」という意味の「doubt」(ダウト)や「借金」という意味を表す「debt」(デット)という英単語。皆さんは疑問に思ったことはありませんか?
この「b」って必要?、と。
ダウトという発音に「b」が入る要素は全くないように思えます。デットにも「b」要素は0です。
なぜこんな異物が英単語に入り込んでいるのでしょうか?
調べてきたので見ていきましょう。
doubtやdebtに「b」がついている理由
なぜdoubtやdebtに「b」がついているのか。
実用性を考えない学者のせい。
この一言がすべてです。
doubtという単語が生まれた経緯を知ればそれは理解できると思います。
昔doubtはdouteとスペリングしていました。
現代英語で考えるとdouteでダウトと発音するのは正しいです。routeがルート、cuteをキュートと発音するのと同じですね。
じゃあ何故そのdouteがdoubtとなってしまったのか。諸説ありますが、最も有力なのが元のラテン語に合わせようとしたからという説。
英語はラテン語やフランス語など他言語から様々な英単語を輸入しています。日本語にも外来語がありますが、それと同じ感じです。
英単語douteはもともと中期フランス語のdoubte(疑う)から輸入されたと言われています。(doubteも元はdubitio(疑う)というラテン語が由来とされています)
そう、元となるdoubteには「b」がついているのです。そこに目を付けた当時の言語論者は元のdoubteに配慮して「doute」は「doubt」とすべきであると言ったのです。
これには当時ルネサンスの真っ最中で懐古主義的な思想があったというのも関係しています。
ルネサンスとは懐古主義。英語にも懐古の波が押し寄せたというわけです。
debtも同じです。昔はdetteとデットと直感的に呼べるスペリングをしていました。
しかし、detteはdebitumというラテン語が元になっているという理由でdeptに変更されたのです。
このようなルネサンスによってスペルが変わった英単語のことをルネサンス風綴り字と言ったりもします。
ただ、私はこのルネサンス風綴り字には否定的です。というのも、単純に直感的じゃないですよね。
英語は今や世界共通語になっているわけですから、分かりやすい言語である必要があると思っています。スペルを見て発音が直感的に分かるくらいのことはしてもらいたいところです。
ところが急に現れたdoubt「ダウト」debt「デット」。この「b」にはたとえ歴史的意味があったとしても、実用的には何の意味もなく、ただの異物です。
英語学習者がたとえ少しでも違和感を持つようならば、このような英単語は許すべきではありません。私個人としては元の「doute」「dette」に戻してほしいと思っています。
まあ今更どうにもなりませんが。